ニール・ヤング、トランプ陣営を10億円で提訴 無断での楽曲使用めぐり
ロックの伝説ニール・ヤングが、ドナルド・トランプ陣営を相手に10億円の損害賠償を求める訴訟を起こした。2022年10月12日のオハイオ州集会で、ヤングの代表曲を無断で使用したことが理由。過去の合意違反として法廷闘争に発展。

写真:Tore Sætre、CC BY-SA 4.0、ウィキメディア・コモンズより。トリミングし単色で印刷。
ロックの巨匠ニール・ヤングが、ドナルド・トランプの政治団体「トランプ47委員会」を相手に、1989年のヒット曲『Rockin’ in the Free World』の無断使用を理由に10億円の損害賠償を求める訴訟を起こした。この曲は、2022年10月12日にオハイオ州ヤングスタウンで行われた中間選挙集会で、トランプの入場曲として使用されたが、これは両者間で結ばれた過去の法的合意に違反する行為だ。
ヤングの訴状は、10月26日にバージニア州東部地区連邦裁判所に提出された。訴状では、この曲の歌詞が貧困、薬物依存、社会の荒廃を描いている点を指摘し、「この曲はドナルド・J・トランプが支持する全ての価値観に反する」と主張。長年トランプの政治姿勢に反対してきたヤングにとって、この曲の無断使用は到底許容できないものだとしている。
10年にわたる対立の歴史
ヤングとトランプの間で『Rockin’ in the Free World』を巡る対立はこれが初めてではない。2015年、トランプがトランプ・タワーで大統領選挙出馬を発表した際にもこの曲が使用され、ヤングは公然と非難した。しかし、その後もトランプ陣営は集会でこの曲を使用し続け、2020年にはヤングが提訴。この訴訟は示談で解決したが、その際にトランプ陣営はヤングの許可なく曲を使用しないことに合意していた。
ヤングの弁護団は、今回のオハイオ州集会での使用はこの合意を無視したものだと主張。損害賠償だけでなく、今後の無断使用を禁じる差し止め命令も求めている。また、繰り返される違反行為がヤングの評判を傷つけ、トランプ支持を暗に示唆するものだと指摘している。
『Rockin’ in the Free World』が持つ意味
この曲は単なるロック・アンセムではない。アメリカの格差社会を批判した歌詞は、社会の苦悩を浮き彫りにしている。サビの「Keep on rockin’ in the free world」は愛国的に解釈されがちだが、実際の歌詞は放置された貧困や絶望を描いている。カナダ出身で進歩的な政治活動を支持してきたヤングにとって、この曲がトランプの集会で使用されることは到底受け入れられないことだった。
ヤング自身も、この曲を政治的な場で演奏してきた。例えば、9月にはウィリー・ネルソンとの共演でこの曲を披露し、「Take America Back!」と叫ぶパフォーマンスを行った。また、10月に開催された『Power to the People Festival』では、ブルース・スプリングスティーン、デイヴ・グロール、トム・モレロがこの曲を演奏し、そのメッセージへの連帯を示した。
ミュージシャンと政治家の対立:広がる問題
ヤングだけでなく、多くのミュージシャンがトランプ陣営による楽曲の無断使用に抗議してきた。リアーナ、アクセル・ローズ、ファレル・ウィリアムス、そしてトム・ペティやシネイド・オコナーの遺族らも、自らの楽曲がトランプの集会で使用されたことに反発。ホワイト・ストライプスやアイザック・ヘイズの遺族は実際に訴訟を起こしているが、多くは示談で解決している。
この問題はトランプに限ったことではない。ミュージシャンたちは、自らの作品がキャンペーンでどのように使用されるかについて、長年コントロールを求めてきた。ヤングの今回の訴訟は、音楽がいつ、どこで、誰によって使用されるべきかという根本的な問いを投げかけている。
今後の展開
トランプ47委員会は、現時点で訴訟に対するコメントを発表していない。連邦裁判所の規則では、正式に訴状が送達されてから21日以内に回答する必要があるが、公判の日程はまだ決まっていない。この裁判は、政治的文脈での音楽著作権の扱いに新たな前例を作る可能性がある。
ニール・ヤングのファンにとって、この訴訟は彼の政治的・社会的信念に対する揺るぎない姿勢を改めて示すものだ。法廷闘争が続く中、一つだけ確かなことがある。『Rockin’ in the Free World』は、今もなお強いメッセージを持つ曲であり、ヤングはそのメッセージを自らの意思で伝え続けるつもりだ。
ファンが気になる質問
- ニール・ヤングはなぜドナルド・トランプを提訴したのですか?
- ニール・ヤングは、トランプ陣営が2022年10月のオハイオ州集会で『Rockin’ in the Free World』を無断使用したとして、10億円の損害賠償と今後の使用禁止を求める訴訟を起こしました。過去の法的合意に違反したとして、トランプ陣営を非難しています。
- ニール・ヤングは以前にもトランプを訴えたことがありますか?
- はい。2020年にもトランプの選挙陣営が『Rockin’ in the Free World』を無断使用したとして提訴しています。この訴訟は示談で解決し、トランプ陣営はヤングの許可なく曲を使用しないことに合意しました。
- 『Rockin’ in the Free World』の意味とは?
- ニール・ヤングの1989年の楽曲で、アメリカの格差社会や貧困、薬物依存、社会の荒廃を批判した内容です。サビの「Keep on rockin’ in the free world」は一見愛国的に聞こえますが、実際の歌詞は社会の闇を描いており、ヤング自身はこの曲がトランプの政治姿勢とは真逆のメッセージを持つと主張しています。
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